
まほろ駅前多田便利軒(DVD)
前に読んだ三浦しをんさんの『まほろ駅前多田便利軒
』ですが、とても面白くて印象に残っていましたが、続編の『まほろ駅前番外地
』も買って大切に取っています。要するに積ん読になっているのですが、読みたいと思う本はすぐに読むと勿体ない気がしてしまう変な癖もあります。映画化されたということも知っていて、少し興味を持っていたのですが、結局映画館では観ませんでした。
お天気の良くないこの土日に何か観ようかなと思い、一昨日の会社からの帰り道珍しくレンタルビデオショップに立ち寄りました。その時に一番に目についたのが、このDVDでした。あまり迷わずに借りてみることにしました。金曜日の夜すぐに観るのではなく、昨日のお昼前に観ました。何故なら、夜観てしまうと必ず眠くなってしまうからです。早起きの弱点です。
昨日観てみて、夜観なかったのは正解だったと思いました。もともとゆるい話で、特にハラハラするような場面はあまりありません。友達の危機みたいな場面はあったと思いますが、それも小説の上ではハラハラした記憶も無いのです。むしろそういうことを一大事と受け止めてバタバタするような話ではなかったと思います。
映画と原作とどちらが良かったかと言うと、やはり原作の方です。比べるのは良くないかも知れませんが、そういう印象でした。もちろん、どちらも面白いし、むしろ映画化した方が良いみたいな小説もあります。原作が持っている良さを映画化して表現できないと、ちょっと残念な映画になってしまう気がします。そろそろ続編の『まほろ駅前番外地
』を読むことにしたいと思います。
三浦しをん, 小説, 映画

『風の中のマリア』百田尚樹
近藤史恵さんの『サクリファイス
』を読んだ時のような驚きがあった。自転車競技のことは全然知らないから、自転車競技の小説を読んでも面白いかどうか分からない。読んでみたら、面白くて仕方無いくらいだった。しかも自転車競技のルールや面白さをわかりやすく書いていた。この『風の中のマリア
』も読む前は不安だった。蜂が主人公の物語なんて、本当に面白いのだろうか。アニメだったら分からないではないけれど。そんな疑いを持ちつつ、読んでみたらとても面白い。しかも蜂の生態に関しても忠実に描かれている。退屈な学術本ぽい小説なんじゃないか、みたいな気持ちはすぐに消え去ってしまった。
この本を読めば、オオスズメバチの生態を中心として、いろんな蜂の生態を知ることができる。もちろん、小説だからそれを伝えることが、物語の意図ではないだろう。人間の生涯を描こうとすると、大長編小説が出来上がりそうだけど、たった三十日間の命のオオスズメバチの生涯を描くには、これ一冊で十分なのだ。もちろん、人間と蜂の生涯を一緒にはできないけれど、何か共通するものを感じるのである。長いか短いかの違いはあっても、同じ生命体なのだから、生きるということに共通する意味はあるのだと思う。そういう意味でも、とても面白い小説だった。
オオスズメバチの帝国を守る戦士”疾風のマリア”の物語は、冒険あり戦闘シーンありで、理屈抜きで面白い。虫を主人公にしても、こんなに面白い小説が書ける百田尚樹さんの本を、他にも沢山読みたくなった。
(8冊目/2012年)
小説, 百田尚樹

『真夜中のパン屋さん』大沼紀子
いつもは決まった作家の本を読むことが多いのだけど、時々は初めて読む作家の本が欲しくなる。『真夜中のパン屋さん
』は、本屋さんで並んでいるのが何となく気になっていた。表紙の装丁が少女漫画ぽいので、恐る恐る買った本でもあった。
読み始めるとそういう心配も無くなった。面白い小説だった。登場人物のキャラクターが面白いし、それぞれが持つ内面や重い体験など、それなりの読み応えもあった。パン屋さんのオーナーの暮林さんのキャラクターに癒されるし、時々とても深いことを言う。暮林さん自体も重い経験を持っているのだけれど、とても良いキャラクターなので、あんなふうになりたいと思ってしまう。
混雑で殺気立ち、とげとげしくなってしまう満員電車の中で読むと、心も少し丸くなってしまう、そんな小説でした。続編も是非読んでみたいと思っています。
(7冊目/2012年)
大沼紀子, 小説

『輝く夜』百田尚樹
『輝く夜
』は、クリスマスに起きるちょっと不思議な出来事を綴った5つの短編小説によって構成されています。不思議な話と言っても、決して怖い話ではなく、希望がある話ばかりです。どの短編もそれぞれに面白い小説ばかりでした。強いて言えば、「ケーキ」がとても印象に残っています。終わり方からすると、希望は無さそうに思えてもおかしくない小説ですが、やはり希望ある小説なんだと思います。
詳しく書くとネタバレになってしまいますので、それぞれの短編に簡単に触れてみます。「魔法の万年筆」は、万年筆というキーワードで結構期待したせいか、クリスマスの話としてはありそうな話みたいな感じでしたが、不思議なことに後になってみるととても良い印象だけが残りました。「猫」もでき過ぎという気はしないこともないのですが、とても良い話だと思います。「タクシー」は途中まで読んで結末がわかったような気がしましたが、主人公の気持ちが伝わって来る短編です。「サンタクロース」はやや印象が薄い気がしますが、悪い印象ではありません。
5つの短編それぞれに違った味で、それぞれに印象も良く、どんどん先へと読めました。かなりのスピードで読めたので、とても読みやすく、わかりやすい小説だったと思います。あっと言う間に読んだということは、それだけ面白かったということです。
( 5冊目/2012年)
小説, 百田尚樹

『菊葉荘の幽霊たち』角田光代
『菊葉荘の幽霊たち
』は2000年に出版された本で、『対岸の彼女
』よりも前の作品である。今住んでいるところを追い出されそうになった彼が、菊葉荘に住みたいと言うので、何とか空き部屋を作って彼を住まわせようと潜入する主人公の話である。結構面白いと思いつつ、短期間で読み終えた。
それにしても今住んでいる安アパートを追い出されるからと言って、空き部屋も無く、さほど良さそうに見えない菊葉荘に住みたいという感覚からして、僕には理解し難いものがある。そうやって引っ越した経験が無いからだろうか。物語は菊葉荘の住人とその行動や、潜入した一室の住人と主人公のからみなどが、角田さんの小説らしくとても狭い範囲で描かれている。アパート小説の最たる作品なのかも知れない。角田さんのアパート小説を沢山読むと、こういう作品はむしろ安心して読める気がする。
突然菊葉荘に住みたいと言う彼氏のために、空室を作ろうとする主人公であるが、献身的な愛を書いた小説ではない。主人公が誰のためにそこまでやっているのかさえ、読んでいて分からなくなってくる。理解し難いけれど、読み終えたら何となく分かったような気になっている自分に気が付いた。
(4冊目/2012年)
小説, 角田光代

『横道世之介』吉田修一
主人公横道世之介の大学入学からの1年間の、いろんな出来事と出会った友人や恋人との生活が綴られている。そして時々そんな大学時代の1年間をふと思い出すような、その後の物語がフラッシュバックされるように綴られている。
平凡でどこにでも居そうだけど、どこにでも居るわけじゃない、とてもいい奴が横道世之介だと思う。そんないい奴が描かれていて、彼と出会った人達の余韻のようなその後の物語がある。とても残念なと言うべきか、名残惜しいと言うべきか、そんな終わりがちょっと淋しいけれど、だからこそ横道世之介は素晴らしいのかも知れない。出会ったことが嬉しくなるような、素敵な人物像が描かれていて、読み終わって振り返ってみると、そういう爽やかさや後味の良さみたいなものと、惜しむ気持ちが後に残る。
なぜか最近、小説というのはある人の人生を書くことにより、それを読んでいる読者に何かを感じさせるものだという気がしている。そういう小説の典型的な形が『横道世之介
』なのではないかと思うのだけど。
(1冊目/2012年)
吉田修一, 小説

『永遠の0』百田尚樹
実はこの本を買ってから、かなりの時間が経っている。面白そうだし、評判も良さそうだし、これは是非読まなくてはと思い買ったのだけど、なかなか読めなかった。600頁近い分厚い本で、読み出したら時間がかかるということがひとつ。もうひとつは、第二次世界大戦で活躍した零戦にまつわる物語だということが、なかなか読み出せなかった理由だ。戦争物だというイメージがあったからである。特別な理由はないけれど、何となく時代劇だとか、過去の歴史物は好きじゃないというイメージがあった。
『永遠の0
』を読み進めて、すぐにそれは間違いだということに気付いた。単なる戦争物ではないし、歴史物でもないことに気付いたからである。だからと言って、時代背景は省略されているかと言うとそうではなくて、しっかりとわかりやすく書かれていて、自然に頭に入ってくる感じだ。その上で主人公の凄まじい生き方が徐々に明らかになって行くところなどは、知らず知らずのうちに物語に引き込まれていく。夢中で読んでいて、電車がどの駅辺りを走っているのか、すっかり分からなくなっていた。通勤電車が書斎みたいな、僕の読書生活だけど、そういうことは滅多に無い。年に数回有るか無いかだ。
ストーリーには触れないけれど、とんでもなく生き難く、自分自身の生き方を貫くことが困難な時代に、それを成し遂げた人の物語だと思う。死と直面しつつ、生きることに執念を燃やした人の素晴らしい人生を描いた物語だと思う。その時代と比べて、はるかに生きやすい今という時代に、自分自身を見失った生き方をしていることが、恥ずかしくなってしまう。そういう意味では、今という時代にも共通するものが描かれている。むしろ、今のような時代だからこそ、自分自身をしっかりと持って、流されないで生き抜くことが必要だと、説いているようにも思える。
2011年も終わりに近づいているが、とても良い本を読んだと思う。今年読んだ本の中では、最も印象に残る本だったと思う。迷わずナンバー1と言いたくなる本だった。
(145冊目/2011年)
小説, 百田尚樹
金曜日の会社からの帰りの電車、戸塚駅を過ぎたあたりから、百田尚樹さんの『永遠の0
』を読んでいる。
買った頃は文庫本化されて、売れている本だった。今でも平積みされているような、ベストセラーなんだけど、買ってから読み始めるまで時間がかかった。600ページ近い分厚い本なので、読み始めるのに勇気が必要だったためだ。本を片手で持って、電車で読んでいたけれど、時間が経つと腕が疲れてくる感じ。
そんな分厚い本も、昨日の東京往復で読み進めることができたので、200ページを越えたところまで読んだ。面白くて、読みやすいから、先へ先へと読みたくなる。次はどうなるんだろうと、知らず知らずに期待しながら読んでいる。
目標としては、今日と明日で読み終えたいけれど、さてどうなることか。
永遠の0 (講談社文庫)
百田 尚樹


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小説, 百田尚樹

『くまちゃん』角田光代
装丁はとても目を引く。良い感じのグリーンの背景に、熊のイラストが描かれたTシャツの女の子。
『くまちゃん
』は、7つの短編小説で構成されている。それぞれの短編は、まるでリレーのように繋がっている。恋愛小説なんだけど、全てが失恋の話だ。僕の体験上、これほど失恋ばかりの短編小説集は、読んだことがない。帯にある「ふられ小説」ばかりである。そして振られて嘆き悲しむばかりではなく、何かを得て立ち直る。
7つの短編には、それぞれにそれぞれの面白さや良さがあって、どれが一番かということが言えないのだけれど、タイトルになっている短編「くまちゃん」が印象に残っている。3年ぐらい経ったのちに、主人公が彼のことを思い出す出来事があり、彼のことを思い出す場面が、印象に残っている。
いずれにせよ、いろんな個性を描き、いろんな失恋を描いている。そう言えば、この本だけではなくて、角田さんが書く恋愛小説は単純なハッピーエンドのものは無かったように思う。どちらかと言うと、失恋が多いのかも知れない。
( 144冊目/2011年)
小説, 角田光代, 読書